こんなお悩みはありませんか?
- 停電のとき、搾乳や生乳の冷却が止まったら困るので、非常用発電機を検討したいが、何から考えればよいかわからない
- 固定式がよいのか、トラクターで動かすタイプがよいのか、選び方の違いを知りたい
- 冬の十勝で、いざというときにきちんと動くか、日頃の備えも不安
この記事では、酪農家や農業法人が、非常用発電機を考えるときの基本を、帯広・十勝の現場経験をもとに、止めたくない設備の整理から、選び方、設置、日頃の備えまで、専門用語をかみ砕きながらわかりやすく解説します。
📖 読了時間の目安:約13分
セイトー電設は帯広・十勝エリアで創業50年以上、地域の住宅・農業・工場の電気工事を手がけてきました。この記事は現場担当者が実際によくいただく質問をもとに作成しています。
目次
停電のとき、搾乳も冷却も止まったら…酪農家さんの不安
「もし、停電したら、搾乳はどうしよう」「生乳を冷やせなくなったら、どうなるのだろう」。酪農家さんの多くが、一度は抱く不安だと思います。牛は、待ってくれません。搾乳の時間が、遅れると、牛の負担や、乳房の健康にも影響が出ます。生乳の冷却が止まれば、品質に関わります。
2018年9月の、北海道胆振東部地震では、道内の広い範囲で、停電が起きました。酪農の現場でも、搾乳や、生乳の冷却、換気、給水などに、大きな影響が出たといわれています。この経験から、非常用の電源として、発電機を備えておこうと考える農家さんが、増えています。
また、近年は、雷や、大雪、暴風による停電も、各地で起きています。十勝のような、広い地域では、復旧に、時間がかかる場合もあります。「いざという時に、備えがあるかどうか」が、経営を守るための、大切な要素になっています。
発電機を、検討するときの、最初のポイント
発電機を考えるとき、いきなり機種を選ぶのではなく、次の順序で、考えると、失敗しにくくなります。
- ステップ1:停電で、止めたくない設備を整理する
- ステップ2:その設備に必要な電力(容量)を確認する
- ステップ3:設置場所や、接続の方法を決める
- ステップ4:燃料や、日頃の点検の体制を考える
この記事では、この順序に沿って、ポイントを、わかりやすくご説明します。
発電機とは?
発電機とは、エンジンなどの動力で、電気をつくる機械です。停電のときに、電力会社からの電気の代わりに、必要な設備に電気を送ることができます。燃料には、軽油、ガソリン、LPガスなどが使われます。農業の現場では、軽油を使う、ディーゼルエンジンの発電機が、よく見られます。
停電で、困る設備を整理しよう
酪農で、止めたくない設備の例
酪農経営では、次のような設備が、停電の影響を受けやすい設備です。
- 搾乳設備(ミルカー、真空ポンプなど):搾乳が止まると、牛への負担が大きい
- 生乳の冷却設備(バルククーラーなど):生乳の品質を守るために必要
- 換気ファン:牛舎内の空気環境を保つために必要
- 給水設備(ポンプなど):牛の飲み水の確保
- 給餌設備(自動給餌機、飼料の搬送など):給餌が止まると、手作業が増える
- 照明:夜間の作業や、安全のために必要
- 暖房・保温設備(子牛の保温など):冬は、特に重要
畑作・施設園芸などで、止めたくない設備
酪農以外でも、次のような設備が、考えられます。
- 貯蔵庫の冷却・換気設備:農産物の品質を守る
- 選別・調製の設備:出荷作業に影響する
- ハウスの暖房・換気設備:作物を守る
- かんがい(水やり)のポンプ:作物の生育に影響する
- 乾燥設備:収穫物の品質に関わる
優先順位をつける
すべての設備を、発電機で動かそうとすると、大きな容量の発電機が必要になり、費用や設置の負担も大きくなります。まずは、「停電のとき、これだけは動かしたい」という設備を、優先順位をつけて、整理しましょう。
「停電が、どのくらい続くか」も想定する
数時間の停電か、半日か、数日続くのかによって、必要な燃料の量や、運用の方法が変わります。過去の停電の経験や、地域の状況を踏まえて、想定しておくと、現実的な計画が立てられます。
現状の電気設備の把握も大切
どの設備が、どの分電盤から電気をもらっているか、どのくらいの電力を使うかを、把握しておくことも、大切です。電気設備の図面や、分電盤の表示を、確認します。古い農場では、増設を重ねて、配線が複雑になっていることも多いため、この機会に、現状の整理をしておくと、安心です。
⚠ 注意
発電機を、分電盤やコンセントに、そのままつなぐ行為は、電力会社の送電線に電気が逆流する危険があり、復旧作業の方が感電するおそれがあります。発電機の接続は、専門の電気工事会社に相談してください。
発電機の種類と、選び方の基本
固定式と可搬式
| 種類 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 固定式(定置式) | 据え付けて、停電時に自動または手動で切り替える | 停電時に、すぐに動かしたい。常に備えておきたい |
| 可搬式(トラクターPTO式など) | トラクターの動力で動かす、または、持ち運んで使う | 初期の負担を抑えたい。必要なときに、移動して使いたい |
固定式のメリットと注意点
固定式は、あらかじめ設置しておくため、停電時にすぐに使えるのが利点です。自動切り替えの装置を付ければ、停電を検知して、自動的に発電機が動き、電気を切り替えてくれます。夜間や、不在のときにも対応できます。
一方で、設置の場所や、基礎の工事、燃料の保管、定期的な点検が必要です。初期の費用も、大きくなる傾向があります。
可搬式(PTO式など)のメリットと注意点
トラクターのPTO(動力の取り出し口)で動かすタイプは、すでにトラクターをお持ちの農家さんが、比較的導入しやすい方法として、使われています。必要なときに、トラクターを動かして、発電機につなぎ、電気を供給します。
ただし、停電のときに、人が、トラクターを動かして、接続する必要があります。夜間や、人手が足りないときには、対応が難しいこともあります。また、トラクターの燃料や、発電機との適合も確認が必要です。
燃料の種類
- 軽油(ディーゼル):農家さんの身近にあり、扱いやすい。寒冷地では、燃料の凍結対策に注意が必要
- ガソリン:小型の機種で使われることが多い。保管に注意が必要
- LPガス:保管がしやすく、劣化しにくい。機種が限られる場合がある
容量(出力)の考え方
発電機の容量は、動かしたい設備の、電力の合計で決まります。ただし、単純に足し算をするだけでは、足りないことがあります。
- 始動電流(しどうでんりゅう):モーターは、動き始めるときに、通常より大きな電流が流れる
- 同時に動かす設備:すべてを同時に動かすのか、順番に動かすのか
- 余裕:ギリギリの容量だと、負担が大きく、故障の原因になることがある
搾乳設備の真空ポンプや、換気ファン、ポンプなどのモーターが、多い農場では、始動電流の影響が、大きくなります。専門家に、確認してもらうと、安心です。
三相と単相
農場では、動力設備(三相の電気)と、照明やコンセント(単相の電気)を、使い分けていることが多くあります。発電機が、三相に対応しているか、単相だけかも、確認が必要です。
接続と切り替え:安全にいちばん大切なところ
逆流(逆潮流)の危険
停電のときに、発電機の電気が、電力会社の送電線に、逆流すると、大変危険です。電力会社の作業員が、停電していると思って作業しているところに、電気が流れて、感電する事故が起こりかねません。
そのため、発電機の接続は、専門の電気工事会社が、適切な装置(切替開閉器など)を使って、電力会社からの電気と、発電機からの電気が、同時につながらないようにして行う必要があります。
切替の方式
- 手動切替:停電したときに、人が操作して、電源を切り替える
- 自動切替:停電を検知して、自動的に、発電機を起動して、切り替える
どちらが向くかは、運用の体制や、設備の重要度によって、決まります。
受電方式(低圧・高圧)で、方法が変わる
農場の受電方式が、低圧(一般的な契約)か、高圧(キュービクルなどの受変電設備をもつ契約)かで、発電機の接続方法や、必要な手続きが異なります。高圧受電の場合は、電気主任技術者の確認や、電力会社との協議が必要になる場合があります。
動かしたい設備だけを、専用の回路にまとめる
発電機で動かしたい設備を、専用の分電盤にまとめておくと、停電時に、必要な設備だけに、電気を送ることができます。工事の際に、回路の整理も、あわせて行うと、使いやすくなります。
発電機の接続は、DIYで行わない
発電機の接続は、感電や、火災、設備の故障、そして電力会社の作業員の安全に関わります。ご自身で、配線をつないだり、プラグを加工したりすることは、避け、専門業者にご相談ください。
設置と運用:燃料・置き場所・排気・騒音
置き場所の考え方
発電機は、エンジンを使うため、排気ガス(一酸化炭素を含む)が出ます。牛舎や、閉め切った建物の中で、発電機を動かすと、中毒の危険があります。屋外か、換気の十分な、専用の小屋に設置します。
- 排気が、牛舎や住居に入らない位置
- 雨や雪の影響を、受けにくい場所
- 雪が積もっても、アクセスしやすい場所
- 搬入や、メンテナンスをしやすい場所
- 騒音が、近隣や、牛舎の牛に影響しにくい場所
燃料の保管
燃料は、種類や量によって、法令上の決まり(少量危険物の届出など)が、関わる場合があります。保管の方法や、量については、消防署や、専門家に、確認してください。
燃料の劣化
燃料は、長期間保管すると、劣化することがあります。定期的に、入れ替えや、点検を行うことが、大切です。
排気と騒音への配慮
発電機は、運転中に、大きな音が出ます。夜間の運転で、近隣に迷惑がかからないか、牛が驚かないかも、考えて、設置場所を決めます。防音のカバーや、消音器を使う方法もあります。
設置の基礎と、地面の凍上
十勝では、地面が凍って持ち上がる「凍上(とうじょう)」という現象があります。固定式の発電機を設置する場合は、基礎が、凍上の影響を受けにくい構造になっているかも、確認が必要です。
帯広・十勝ならではの視点:寒さ・雪・広い敷地・地域の停電
冬の始動対策
寒冷地では、冬に、次のような影響が出ることがあります。
- バッテリーの性能が下がって、始動しにくくなる
- 燃料(軽油)が、低温で、固まったり、流れにくくなったりする
- エンジンオイルが、硬くなり、始動時の負荷が大きくなる
対策としては、寒冷地仕様の機種、バッテリーヒーター、燃料の寒冷地向け対策、エンジンの予熱装置などがあります。製品の仕様や、取り扱いを、確認してください。
雪に埋もれないために
雪が積もると、発電機の置き場所に近づけなくなったり、排気が雪でふさがれたりすることがあります。除雪の動線も含めて、設置場所を決めます。
広い敷地・離れた施設
十勝の農場は、敷地が広く、牛舎、搾乳施設、貯蔵庫、自宅が、離れていることもあります。どの設備に、どう電気を送るかを、整理して、無理のない計画を立てます。
地域の停電の特性
雷や、暴風雪、大雪、倒木などで、停電が起きることがあります。復旧までの時間は、状況によって、さまざまです。「数時間なのか、半日以上か」を想定しながら、備えを考えておくと、安心です。
搾乳ロボットや、自動化設備の導入が進む農場
近年は、搾乳ロボットや、自動給餌機など、電気に頼る設備が増えています。停電への備えは、設備の導入とあわせて、考えておきたい項目です。
地元だからこそできる対応
セイトー電設は、創業50年以上、帯広・十勝で、高圧受電設備工事を専門に、住宅から工場、農場まで、幅広い電気工事に携わってきました。受電設備と、発電機の接続を、トータルで見られるのは、私たちの強みです。
日頃の備え:試運転・点検・記録
定期的な試運転
発電機は、「持っているだけ」では、いざというときに動かないことがあります。定期的に、試運転を行い、問題なく動くかを、確認することが大切です。試運転の頻度は、機種によって異なるため、取扱説明書や、メーカーの推奨を、確認してください。
点検の項目
- 燃料の量と、状態(劣化していないか)
- バッテリーの状態
- エンジンオイル、冷却水の量
- 配線や、接続部分の状態
- 切替装置の動作
- 排気や、冷却の通り道が、ふさがれていないか
停電時の「手順書」をつくる
停電が起きたとき、誰が、何を、どの順番で、行うかを、紙に書いて、見やすい場所に貼っておくと、慌てずに行動できます。家族や、従業員の方とも、共有しておきましょう。
連絡先の整理
電力会社、電気工事会社、保安管理の担当者、発電機のメーカーなどの連絡先を、まとめておきます。夜間や休日に、連絡できる窓口も、確認しておきます。
記録を残す
試運転や、点検、メンテナンスの記録を残しておくと、次の点検のときに役立ちます。
進め方の流れと、費用・補助制度の考え方
ご相談から工事までの流れ
- お問い合わせ:電話、LINE、Webフォームのいずれかでご連絡ください。受電の方式や、止めたくない設備のおおよそをお知らせください。
- 現地確認:電気設備の状況、設備の配置、設置の候補地、燃料の置き場所などを確認します。現地確認は無料です。
- ご提案:優先する設備、発電機の種類や容量、切替の方法、設置の方法を整理して、ご提案します。
- 日程の調整:搾乳や、作業の時間に合わせて、影響の少ない日時を決めます。
- 工事:資格をもつスタッフが、安全に配慮して作業します。
- 試運転と、ご説明:実際に動かして確認し、操作方法や、日頃の点検について、ご説明します。
費用は、現地確認のうえでご案内します
動かしたい設備、発電機の種類と容量、切替の方法、設置の工事の内容などで、費用は大きく変わります。この記事では、金額はご案内していません。現地確認のうえ、お見積もりをいたします。お気軽にお問い合わせください。
補助制度は、年度・条件で変わる
農業の設備や、防災・省エネの設備への支援制度が、国や自治体、関係団体で用意されることがあります。対象、受付の期間、手続きは、年度ごとに変わります。多くの場合、工事の契約や着工の前に、申請が必要です。早めにご相談ください。
段階的に備える方法も
一度に、すべてを備える必要はありません。次のような段階で、進める方法もあります。
- 第1段階:止められない設備の整理と、電気設備の現状確認
- 第2段階:優先設備の回路の整理と、切替装置の設置
- 第3段階:発電機の導入(固定式、または可搬式)
- 第4段階:試運転と、運用ルールの整備
今日からできる確認と、第一歩
停電への備えのチェックリスト
当てはまるものがあれば、相談の目安です。
- 停電時に、止めたくない設備を、整理していない
- 過去の停電で、困った経験がある
- 発電機を持っているが、接続の方法が、不安
- 発電機を、長く動かしておらず、動くか心配
- 冬の始動や、燃料の凍結が、不安
- 停電時の手順や、連絡先が、決まっていない
設備の一覧と、分電盤の写真があると、話がスムーズです
ご相談の際は、動かしたい設備のリスト、分電盤の写真、受電の方式(低圧か高圧か)がわかるものがあると、状況を把握しやすくなります。
⚠ 安全のために
発電機の接続や、配線の工事は、ご自身で行わず、専門の電気工事会社にご相談ください。また、発電機は、屋内や、閉め切った場所で動かさないでください。排気ガスによる、中毒の危険があります。
停電の備えを、経営を守る見直しに
非常用発電機は、普段は使わない設備ですが、いざというときに、家畜と、品質と、経営を守る大切な備えです。大がかりに感じるかもしれませんが、まずは、現状の整理から始められます。
「うちの場合は、どんな備えが必要なのだろう」と思ったら、まずは、お気軽にご相談ください。現地確認は無料です。帯広・十勝エリアで対応しています。
よくある質問
Q. 発電機があれば、停電しても、いつもどおりに使えますか?
発電機の容量(出力)によって、動かせる設備が決まります。すべての設備を動かせるとは限らないため、「止めたくない設備」を選んで、必要な容量を考えるのが基本です。搾乳機、生乳の冷却、換気、給水ポンプなど、優先する設備を整理することが大切です。
Q. 固定式と可搬式(トラクターなどで動かすタイプ)の違いは何ですか?
固定式は、設置場所に据え付けて、停電時に自動または手動で切り替えるタイプです。可搬式は、トラクターの動力(PTO)などで動かし、必要なときに移動して使うタイプです。どちらが向くかは、設備の規模、使い方、予算、対応できる人手によって変わります。
Q. 発電機を、コンセントにつなげば使えますか?
行わないでください。分電盤や、コンセントに、発電機をそのままつなぐと、電力会社の送電線に電気が逆流して、復旧作業の方が感電するなど、大変危険です。接続は、専門の電気工事会社が、適切な切替装置を使って行う必要があります。
Q. 燃料は、どれくらい備えておけばよいですか?
動かす設備と、停電が続くと想定する時間で、必要な量が変わります。燃料の保管には、量に応じた法令上の決まりがある場合があります。保管量や、置き場所については、専門家や、消防署などにご確認ください。
Q. 冬でも、きちんと始動しますか?
寒冷地では、バッテリーの性能低下や、燃料の凍結、オイルの粘りなどで、始動しにくくなることがあります。寒冷地向けの仕様や、ヒーター、定期的な試運転などの対策が大切です。いざというときに動かなかった、とならないよう、日頃の点検が欠かせません。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 停電のとき、まず「止めたくない設備」(搾乳・冷却・換気・給水など)を整理することが、発電機選びの出発点になる。
- 固定式と可搬式があり、設備の規模や使い方で向き不向きがある。容量は、モーターの始動電流も考えて決める。
- 発電機の接続は、逆流などの危険があるため、専門の電気工事会社が、適切な切替装置で行う。
- 燃料の保管、置き場所、排気、騒音にも配慮が必要。冬の始動対策と、定期的な試運転が大切。
- 帯広・十勝では、寒さと、広い敷地、酪農・畑作の用途に合わせて、無理のない計画を立てる。
あわせて読みたい
帯広・十勝エリアの電気工事はセイトー電設へ
高圧受電設備・一般電気工事・アンテナ工事など、
どんなご相談もお気軽にどうぞ。
見積もり・現地確認は無料です。
帯広の電気工事についてもっと知りたい方は帯広電気工事.websiteもご覧ください。