こんなお悩みはありませんか?
- 電柱の上にある四角い装置が何なのか、自分の設備なのかわからない
- PASの交換時期と聞いたが、いつ・どうやって判断すればよいのか知りたい
- 点検は任せているが、PASが点検の対象に入っているのか不安になる
この記事では、電柱の上にある「PAS(高圧気中開閉器)」の役割や仕組み、交換時期の考え方、点検や工事の進め方について、帯広・十勝の現場経験をもとに、専門用語をかみ砕いてわかりやすく解説します。
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セイトー電設は帯広・十勝エリアで創業50年以上、地域の住宅・農業・工場の電気工事を手がけてきました。この記事は現場担当者が実際によくいただく質問をもとに作成しています。
目次
電柱の上の「PAS」って何?帯広・十勝の事業者が知っておきたい基本
工場や農場、店舗の敷地の入口にある電柱を、ふと見上げたことはありますか。電柱の上のほうに、グレーや緑色の、四角い箱のような装置が取り付けられているのを、見たことがあるかもしれません。これが「PAS(ピーエーエス)」と呼ばれる装置です。
PASは、「Pole Air Switch」の頭文字で、日本語では「高圧気中開閉器(こうあつきちゅうかいへいき)」といいます。名前は難しいですが、要するに「電柱の上に取り付けられた、高圧の電気を入り切りするスイッチ」です。家庭でいえば、ブレーカーのようなものですが、扱う電気の大きさがまったく違います。
高圧受電設備を使っている事業所では、電力会社の電線から電気を受け取る入口に、このPASが設置されていることが多くあります。普段は目立たない存在ですが、設備を守る大切な役割を担っています。
「高圧」ってどのくらいの電気?
一般のご家庭には、100Vや200Vの電気が届いています。これに対して、高圧とは、6,600ボルトという非常に大きな電圧の電気のことです。この高圧の電気を、工場や農場などの大きな施設に届けるため、キュービクルなどの設備で使いやすい電圧に変えています。
PASは、その高圧の電気を受け取る一番手前にあるスイッチです。そのため、点検や工事のときに、設備全体の電気を止める役割も果たします。
PASは「受電設備の入口」にいる
電力会社の電線から、事業所のキュービクルまでの電気の通り道には、いくつかの機器が並んでいます。その最初に出てくる機器のひとつがPASです。ここで、電気を通したり止めたりできることで、事業所の内側で起きたトラブルが、外の電線に広がるのを防いでいます。
PASが古くなると何が困る?放置したときのリスク
「毎日、問題なく電気が使えているから、PASも大丈夫だろう」と思われるかもしれません。しかし、PASは屋外の高い場所で、雨や雪、風、紫外線にさらされ続けています。気づかないうちに、少しずつ劣化が進んでいることがあります。
事故のときに「働かない」リスク
PASの最も重要な役割は、構内(敷地の中)で事故が起きたとき、その部分を自動的に切り離して、周りの電線に事故が広がらないようにすることです。ところが、PASが古くなって内部の部品が傷んでいると、この「切り離し」が正しく動かないことがあります。
その結果、事業所の事故が電力会社の配電線にまで影響し、周辺の需要家にも停電が広がる「波及事故」につながるおそれがあります。波及事故は、地域への影響が大きく、事業者の責任も重くなりやすい事故です。
雷や湿気で内部が傷むことも
PASの内部には、絶縁のための部品や、電気を入り切りするための機構が入っています。長い年数の間に、湿気や温度変化、雷の影響などで、これらの部品が傷むことがあります。外観は問題なさそうに見えても、内部は劣化が進んでいるというケースも考えられます。
不具合に気づきにくいのが、いちばんの問題
PASは、電柱の高い位置にあるため、普段は目に入りませんし、動作を確認する機会も多くありません。そのため、不具合があっても、実際に事故が起きるまで気づけないことがあります。
一例として、設置から15年以上たったPASで、内部の絶縁が低下していることが年次点検の測定で見つかり、計画的に交換できたというケースがあります。点検で兆候を見つけられれば、事故になる前に手を打てるのです。
⚠ 注意
PASは電柱の上にある高圧設備です。近づいたり、登ったり、物を投げたりするのは大変危険です。気になる点があるときは、地上から見上げるだけにとどめ、保安管理者や電気工事会社にご連絡ください。
PASの仕組みと役割:開閉・保護・切り離しの3つ
ここでは、PASが具体的にどのような働きをしているのかを、3つに分けて整理します。
役割1:電気の「入り切り」
PASは、高圧の電気を入れたり切ったりできるスイッチです。キュービクルの点検や工事をするときは、PASを開いて(切って)、電気が来ない状態にしてから作業します。作業の安全を守るための、基本となる機器です。
役割2:事故の「検知」
PASには、「地絡(ちらく)」を検知する機能が付いているものが多くあります。地絡とは、電気が本来の通り道から外れて、大地に流れてしまう異常のことです。ケーブルの傷みや小動物の侵入などで起こることがあります。
こうした異常を感知する装置と組み合わせることで、事故をいち早く見つけることができます。
役割3:事故部分の「切り離し」
異常を検知したら、PASが自動で電気を切り、事業所の設備を電線から切り離します。これによって、事業所の中で起きた事故が、外の電線に広がるのを防ぎます。これが、波及事故を防ぐための大切な役割です。
PASの周辺にある機器
PASの周りには、事故を感知するための装置(地絡継電器)や、雷から機器を守る避雷器などが組み合わされていることがあります。これらは、PASと一緒に正しく動作して初めて、設備全体を守れます。PASだけを新しくしても、周りの機器が古いままでは、保護が十分とはいえません。更新を考えるときは、周辺機器もあわせて確認することが大切です。
| 役割 | 内容 | 事業者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 開閉 | 高圧の電気を入り切りする | 点検・工事の安全確保 |
| 検知 | 地絡などの異常を感知する | 事故の早期発見 |
| 切り離し | 事故部分を電線から自動で切る | 波及事故の防止 |
PASの種類と、更新のときに見直したいこと
ひとくちにPASといっても、いくつか種類があります。地絡を感知する機能が付いたもの、事故の電気が流れてくる向きまで判別できるもの(方向性地絡継電装置付き)などがあり、設置された時期によって、機能に違いがあります。
近年は、近くの別の事業所で起きた事故の影響で、PASが誤って動作してしまう「もらい事故」を防ぐため、向きを判別できるタイプが広く使われています。古いPASを交換するときは、こうした新しい機能の有無も、あわせて確認するとよいでしょう。電力会社から仕様についてお願いがある場合もありますので、設備に合ったものを選ぶためにも、専門家に相談することをおすすめします。
また、地中から電気を引き込んでいる設備では、電柱の上ではなく、地上の箱の中にある「UGS(地中線用負荷開閉器)」という、PASと同じような役割をもつ装置が使われていることもあります。ご自身の設備がどちらなのか、ご存じでない場合は、お気軽にお尋ねください。
PASの交換時期は?目安と、劣化を考えるときの視点
PASの更新時期は、「何年たったら必ず交換」と一律に決められるものではありません。ここでは、一般的な目安と、判断の視点をご紹介します。
一般的な更新の目安
メーカーや業界団体では、PASの更新の目安を、おおむね10年から15年前後としています。これは、屋外に設置されている機器が、雨風や紫外線、温度変化などにさらされ続けることを考えたうえでの目安です。ただし、実際の寿命は、設置場所の環境や使用状況によって前後します。
判断のポイント
- 設置から何年たっているか(銘板や点検記録で確認)
- 外観に、さびや変色、ひび割れ、汚れがないか
- 点検や測定で、絶縁の低下や動作の不具合が見つかっていないか
- 雷の被害を受けたことがないか
- 周辺の保護装置が古くなっていないか
これらを総合して、「今すぐ交換が必要か」「数年以内に計画しておけばよいか」を判断します。年数だけで決めるのではなく、点検の結果を大切にすることがポイントです。
「壊れてから」より「計画的に」
PASの交換は、電力会社との調整や、高所での作業が必要になるため、日程の調整に時間がかかることがあります。壊れてから慌てて手配すると、停電の時間や日程を自由に選べなくなってしまいます。連休や閑散期など、事業への影響が少ない時期を選んで、計画的に交換するのが理想です。
セイトー電設では、点検の結果をもとに、「今すぐ」「数年以内」「経過観察」といった優先順位をつけてご説明しています。一度にすべてを決める必要はありませんので、お気軽にご相談ください。
PASの点検と交換工事の流れ:高所・高圧作業は専門業者へ
PASの点検や交換は、高所での作業と、高圧の電気を扱う作業が重なる、専門性の高い工事です。一般的な流れを、ご紹介します。
点検の考え方
PASの点検は、キュービクルの年次点検とあわせて行われることが多くあります。外観の確認に加えて、絶縁抵抗の測定、動作の確認などを行います。動作の確認には、実際に操作して開閉できるかを調べる作業や、地絡を感知する装置との連動確認などが含まれます。
交換工事の流れ
- 現地確認:設置状況、機器の型、電柱の状態、周辺環境を確認します。
- 機器の選定:現在の設備に適合するPAS(容量や機能)を選びます。
- 電力会社との調整:停電が必要になるため、日程や段取りを電力会社と調整します。
- 工事の実施:停電のうえ、高所作業車などを使って、既存のPASを取り外し、新しいPASを取り付けます。
- 動作確認:取り付け後に、開閉の動作や保護装置との連動を確認し、送電を再開します。
停電時間と工事の準備
交換工事では、数時間程度の停電が必要になるのが一般的です。工場や農場では、その間に使えなくなる設備への対策(機械の停止手順、搾乳や換気の段取りなど)をあらかじめ決めておく必要があります。
準備には、数か月程度かかることもあります。「来月交換したい」と思っても、日程の調整や機器の手配に時間がかかることがありますので、余裕をもってご相談ください。
工事当日のイメージ
工事当日は、まず電力会社と連絡を取り合いながら、停電の手順を確認します。電気が止まったことを測定器で確かめ、作業する場所の安全を確保してから、高所作業車を使って、古いPASを取り外します。新しいPASを取り付けたあと、配線や固定の状態を確認し、開閉の動作や、地絡を感知する装置との連動を試験します。
すべての確認が終わったら、電力会社と連絡を取りながら、送電を再開します。工事の間は、作業の安全のため、周辺への立ち入りをお控えいただくことがあります。
費用について
PASの交換費用は、機器の種類や現場の状況、周辺機器の更新を同時に行うかどうかなどによって変わります。そのため、一律の金額をお伝えすることはできません。現地確認のうえで、内容に応じたお見積もりをご提示しますので、お気軽にお問い合わせください。現地確認とお見積もりは無料です。
専門業者に任せるべき理由
高圧の電気を扱う作業には、電気工事士などの資格や、安全のための専門的な知識と装備が必要です。電柱の上での作業は、感電や墜落の危険もあります。ご自身で確認や作業をしようとせず、必ず専門の電気工事会社に依頼してください。
帯広・十勝ならではの事情:冬の寒さ、雷、広い敷地の電柱
帯広・十勝のような地域では、PASの管理でも、気をつけたいポイントがあります。
冬の寒さと雪・氷
冬の厳しい寒さの中では、機器の動きが鈍くなったり、結露が凍って不具合を起こしたりすることがあります。積雪や着氷で、電柱や周辺の電線に負担がかかることもあります。冬を迎える前の秋のうちに点検しておくと安心です。
夏の雷
十勝の夏は、雷が発生することがあります。雷のあとにPASや周辺機器が傷んでいることもあるため、大きな雷のあとには、念のため点検を依頼するのも一つの方法です。
広い敷地・農地の中の電柱
農場や広い敷地では、道路から離れた場所に電柱があり、PASが敷地の奥にあるケースも少なくありません。点検や工事のとき、重機や高所作業車が入れるかどうか、雪の時期でも通れるかといった点も、事前に確認が必要です。
また、牛舎や作業場に近いPASは、粉じんや湿気、動物の影響を受ける可能性もあります。使用環境に合わせた点検が大切です。
農場の停電は、影響が大きい
農場では、搾乳設備や換気ファン、給水設備、生乳の冷却設備など、止められない設備が多くあります。PASの交換で停電が必要な場合は、設備の稼働状況に合わせて、時間帯や手順を相談して決めます。当社は創業50年以上、農場の電気設備にも多く携わってきた経験を活かし、無理のない段取りをご提案します。
よくある誤解:PASについて、こんな思い込みはありませんか?
PASについては、次のような思い込みをされている方も少なくありません。
- 「電力会社の設備だから、自分では何もしなくてよい」:事業者側の設備として扱われることも多く、その場合は、点検や更新の判断は事業者の責任になります。
- 「ちゃんと電気が来ているから、問題ない」:普段の通電では問題が見えなくても、事故のときに切り離せるかどうかは、別の話です。
- 「見た目がきれいだから、まだ大丈夫」:内部の劣化は、外観ではわかりません。
- 「壊れたら、そのとき替えればよい」:緊急の交換は、日程や機器の選択肢が限られ、停電の影響も大きくなります。
どの機器が誰の設備なのか、点検の対象に入っているのかは、一度、保安管理者に確認しておくと安心です。わからないときは、当社にご相談いただいても構いません。
保安管理者との連携も大切に
日々の点検は、保安管理を委託している電気主任技術者が行います。点検で気づいた点があれば、報告書や口頭で伝えてもらえますので、「PASの状態はどうでしたか」と、気軽に質問してみてください。事業者側が関心を持つことで、点検の質も上がり、更新の計画も立てやすくなります。
事業者さん向け:PASまわりのかんたんチェックリスト
専門的な確認は専門家にお任せいただく前提で、事業者の方が書類や記録で確認できる項目をまとめました。
- 保安管理の報告書に、PAS(または地中線用の開閉器)の記載があるか
- 設置された年が、記録からわかるか
- 前回、PASの動作確認や絶縁測定が行われたのはいつか
- 点検報告書に、PASや周辺機器についての指摘がないか
- 雷が落ちたあとに、点検を依頼したことがあるか
- 設備の増設や、牛舎・作業場の増築の予定があるか(あれば計画段階で相談を)
一つでも「わからない」があれば、それが、点検記録を見直すきっかけになります。保安管理者に質問してみるのも、よい方法です。
今日からできる第一歩
PASは、電柱の上にあって目立たない装置ですが、事業所の電気の入口を守る、大切な存在です。「うちのPASは、いつ設置したものだろう」「点検の対象になっているだろうか」という疑問があれば、まずは保安管理の報告書や点検記録を確認してみてください。
記録が見当たらない、古そうで不安、という場合は、お気軽にご相談ください。現地確認は無料です。状況をうかがったうえで、必要な点検や更新の進め方をご提案します。
よくある質問
Q. PASは、電力会社と事業者のどちらの設備ですか?
一般的には、電力会社の配電線との境目(責任分界点)の近くに取り付けられ、事業者側の設備として扱われることが多い装置です。ただし、設置の状況や契約によって異なる場合があります。ご自身の設備かどうかは、保安管理者や電力会社、当社にご確認ください。
Q. PASの交換は、どのくらいの時間の停電が必要ですか?
工事の内容や現場の状況によって異なりますが、PASの交換では、電力会社との調整のうえで、数時間程度の停電が必要になるのが一般的です。操業や営業への影響を抑えるため、連休や閑散期などに日程を調整することをおすすめします。具体的な時間は、現地確認のうえでご案内します。
Q. PASが古いかどうか、自分で確認できますか?
電柱の上の装置は、高所にあり、近くには電線もあるため、近づいたり、登ったりするのは大変危険です。地上から外観を見上げる程度にとどめ、詳しい状態の確認は専門家にお任せください。設置年や点検履歴は、保安管理の報告書などで確認できることがあります。
Q. PASは、突然壊れることがありますか?
経年劣化や雷、湿気などの影響で、内部の部品が傷み、動作に不具合が出ることがあります。外から見てもわかりにくいため、定期点検で状態を確認し、更新時期の目安に近づいたら、計画的な交換を検討することをおすすめします。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- PASは、電柱の上にある、高圧の電気を入り切りする装置で、受電設備の「入口」にあたる。
- 事故のときに自動で回路を切り離し、周辺への停電を防ぐ大切な役割がある。
- 更新の目安は、おおむね10年から15年前後とされる。使用環境や点検結果で判断する。
- 電柱の上の作業は高所・高圧の危険作業。ご自身で触れず、必ず専門業者に任せる。
- 帯広・十勝では、冬の寒さや雷、農場の環境も踏まえて、計画的な点検と更新を。
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