北海道では寒冷地特有の環境(低温・積雪・凍結)により、キュービクルや高圧機器の劣化が早く進むケースがあります。
「最近ブレーカーが落ちやすい」「電気料金が高くなった気がする」など、お客様からのご相談も増えています。
この記事では、高圧受電設備(キュービクル)の更新工事の基礎知識、交換のタイミング、工事の流れ、費用の目安について、北海道の電気工事会社として分かりやすく解説します。
目次
高圧受電設備(キュービクル)とは?
工場・施設・商業施設・農場などで高圧を受電し、建物で使える低圧(100V / 200V)に変換する設備です。
キュービクルは次のような機器で構成されています。
- ・PAS / LBS(高圧開閉器)
- ・VCB(真空遮断器)
- ・変圧器(トランス)
- ・保護継電器
- ・計測器・制御機器
- ・盤内配線、避雷器(LA)
これらのどれか一つでも劣化すると、重大な停電事故につながる可能性があります。

更新の目安:20〜25年が一般的
キュービクルは20〜25年程度が交換の目安と言われています。
交換を検討すべきサイン
- ・設置から20年以上経過している
- ・PAS / LBSの動作が重い、違和感がある
- ・VCBのトリップが増えてきた
- ・トランスから異音・異臭がする
- ・盤内のサビ・腐食・結露が目立つ
- ・予防保全のために電力会社や管理会社から更新を勧められた
特に北海道では、屋外盤が凍結や融雪水でダメージを受けることがあり、早めの更新をおすすめするケースもあります。
高圧設備を更新するメリット
① 停電リスクを減らせる
古い設備のまま運用すると、突然の故障による長時間停電が起こる可能性があります。
事前に更新を行うことで、突発的なトラブルを防ぎ、安定した受電が可能になります。
② 電気料金の削減につながる
新しいトランスは効率が良く、「待機損失」が減るため、年間の電気代が下がる場合があります。
特に24時間稼働の工場や冷蔵設備をお持ちの施設では効果が出やすいポイントです。
③ 保安規制に沿った安全な設備に
最新の保護装置や高圧機器を導入することで、法令遵守や点検の負担軽減につながります。
安全性を高めながら、長期的な保守コストの削減も期待できます。

高圧受電設備更新工事の流れ
ここでは実際の現場で行っている一般的な流れをご紹介します。
① 現地調査・設備の点検
まずは現地を確認し、次のような項目をチェックします。
- ・設置年数・運転年数
- ・高圧機器の状態(サビ・腐食・油漏れなど)
- ・トランスの容量・負荷状況
- ・配電方式(ループ受電か単独か)
- ・盤のサビ・腐食・結露の有無
北海道では積雪荷重や凍害のリスクも必ず確認します。
② 更新プランと見積り
お客様のご希望(止められない時間帯、休日施工、予算など)をヒアリングし、
- ・必要な機器のみ交換するプラン
- ・キュービクル一式を入れ替えるプラン
を比較しながら、最適な更新プランをご提案します。
③ 停電日時の調整(電力会社との連携)
高圧設備の交換には停電作業が必須です。
北海道電力(ほくでん)と連携し、停電時間帯や作業日程を調整します。
お客様の業務への影響が少なくなるよう、夜間や休日での施工をご提案することもあります。
④ 更新工事の実施
一般的な交換工事は次のような手順で行います。
- 1.停電作業(受電停止)
- 2.旧機器の撤去
- 3.新しいPAS / LBS・VCB・変圧器などの設置
- 4.盤内配線・端子の更新
- 5.絶縁抵抗・耐圧試験などの各種試験
- 6.通電・試運転
天候によって作業条件が大きく変わるため、北海道では冬季の施工経験や、現場ごとの安全対策が特に重要になります。
⑤ 試験・検査・受電再開
工事完了後、次のような試験・確認を行います。
- ・絶縁抵抗測定
- ・保護継電器試験
- ・接地抵抗測定
- ・耐圧試験
問題がないことを確認したうえで、受電を再開します。
費用の目安(参考)
工事内容や現場条件によって大きく変動しますが、北海道全域の実績からみると、おおよそ次のようなイメージです。
| 工事内容 | 価格帯の目安(税込・概算) |
|---|---|
| PAS交換 | 30〜60万円程度 |
| LBS交換 | 40〜80万円程度 |
| VCB交換 | 60〜120万円程度 |
| 変圧器交換(75〜100kVAクラス) | 100〜250万円程度 |
| キュービクル一式更新 | 250〜600万円程度 |
※あくまで目安であり、現場条件・容量・停電時間・搬入経路・クレーン作業の有無などにより金額は変動します。
概算だけ知りたい場合でも、お写真や図面を共有いただけると、より精度の高いお見積りが可能です。
高圧設備の更新を検討する際のポイント
- ・どこまで更新するべきか(部分交換か、全面更新か)
- ・停電が可能な時間帯・日程
- ・運用開始からの年数と、過去のトラブル履歴
- ・盤内のサビ・腐食・配線状況
- ・冬季施工の可否(屋外・屋内、足場の必要性など)
- ・予算と今後の更新計画(段階的な更新も含めて)
特に「部分交換」で済ませるべきかどうかの判断は、現場経験が必要です。
プロの電気工事会社に現地調査を依頼し、メリット・デメリットを比較したうえで検討することをおすすめします。

まとめ
高圧受電設備(キュービクル)の更新工事は、施設の安全性を保ち、電気料金の削減にもつながる重要な工事です。
20年以上経過している設備は、早めに点検や更新計画を立てることで、突然の停電リスクや高額な修理費用を回避できます。
北海道では寒冷地特有の劣化要因も多いため、高圧設備の更新実績が豊富な電気工事会社へご相談いただくと安心です。
「うちの設備はそろそろ交換が必要か?」と気になった方は、図面や設備の写真をご用意のうえ、お気軽にお問い合わせください。