電柱工事(建柱・抜柱)の費用はいくら?|工事の流れと見積のポイントをプロが解説

電柱の設置(建柱)や撤去(抜柱)は、電気・通信インフラを支える重要な工事です。しかし、「電柱1本いくら?」という質問には、実は簡単に答えられない理由があります。

この記事では、北海道の電気工事会社目線で、費用の目安、工事の流れ、見積もりの注意点まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。これから電柱の建て替えや撤去を検討している方が、「まず何を準備すればいいのか」「どのくらいの費用を見込めばよいのか」がイメージできるよう、できるだけ具体的にまとめました。


電柱工事の費用相場(建柱・抜柱)

建柱(新しく立てる)費用の目安

電柱を新しく立てる場合の費用感は、柱の長さや地盤、周辺環境によって大きく変動しますが、おおよその目安は次の通りです。

内容 目安費用
電柱建柱(電力用・通信用) 25万円〜60万円 / 1本
電線を張る(架線工事) 15万円〜50万円
トランス柱(変圧器付き) 50万円〜150万円

※柱の長さ、地盤、周辺設備、重機の使用有無などで大きく変動します。

抜柱(撤去)費用の目安

既存の電柱を撤去する「抜柱工事」の目安は次の通りです。

内容 目安費用
電柱撤去(抜柱) 10万円〜35万円 / 1本
電線撤去(架線撤去) 10万円〜30万円
基礎(根巻き)撤去 10万円〜25万円

※コンクリート基礎の撤去方法によって費用が変動します。

費用が変わる主な要因

電柱工事の費用は、次のような条件で大きく変わります。

項目 影響する理由
柱の長さ・重量 クレーン車のサイズや作業員数が変わり、重い柱ほど費用が増える
道路状況 通行止め・交通誘導・道路使用許可などが必要になる場合がある
周囲の電線・建物 作業方法が制限され、安全対策や手間が増える
地盤 岩盤や凍土では掘削に時間がかかり、重機費用・人工が増える

北海道ならではの注意点(費用に影響するポイント)

北海道では、次のような理由から、一般地域と比べて電柱工事の条件が変わることがあります。

  • ・凍結した地盤:冬季は地面が凍りつき、掘削に時間と重機が必要になる
  • ・積雪や路面凍結:現場までの進入路や作業ヤード確保に手間がかかる
  • ・凍上対策の根巻き:凍上対策のため、基礎の大きさや深さが増えることがある

特に10月〜4月ごろまでは、冬季費用(冬季加算)が必要となる場合があり、同じ電柱工事でも夏場と比べて費用差が出る可能性があります。雪庇の落下や除雪動線との干渉など、北海道特有の条件を考慮して柱位置を決めることも重要です。


工事の流れと必要な作業

建柱工事の流れ

一般的な電柱の建柱工事は、次のような流れで進みます。

  1. 1.現地調査・図面確認
    敷地状況、既設の電線・建物、通行状況などを確認し、柱位置を検討します。ここで電力会社・通信会社の設備区分も確認しておくと、その後の協議がスムーズになります。
  2. 2.電力会社・通信会社との協議
    電柱の位置や設備構成、停電の要否などを関係各所と調整します。私有地内に電柱を建てる場合は、土地所有者との同意書や占用許可が必要になるケースもあります。
  3. 3.掘削(アースオーガ・バックホー等)
    柱を建てる穴を掘削し、必要に応じて砕石や捨てコンクリートを施工します。地盤が軟弱な場合は、根巻きの拡大や補強が必要になることもあります。
  4. 4.電柱建柱(クレーン・建柱車等で設置)
    クレーン車などを用いて電柱を立て、垂直を確認しながら位置を調整します。周囲の建物や電線との離隔を確保し、安全な高さ・位置に収まっているかを慎重に確認します。
  5. 5.根巻き・埋戻し
    コンクリートやモルタルで根巻きを行い、周囲を埋め戻して締め固めます。北海道では凍上による浮き上がりを防ぐため、根巻きの形状や深さが重要になります。
  6. 6.架線工事(必要な場合)
    電線や通信ケーブルを張り、必要な接続作業を行います。停電作業が伴う場合は、事前にお客さまへの周知や停電時間の調整が必要です。
  7. 7.使用前点検
    締結状況・接続状態・安全性などを確認し、問題がないことをチェックします。必要に応じて電力会社・通信会社側の検査も行われます。

抜柱工事の流れ

既存の電柱を撤去する場合の一般的な流れは、次の通りです。

  1. 1.電線・機器の撤去
    電線や変圧器、開閉器など、柱上の機器を先に撤去します。電力会社や通信会社の設備が混在している場合は、それぞれの担当者立会いのもとで作業を進めます。
  2. 2.根巻き・基礎の掘り起こし
    柱の根元を掘削し、根巻きコンクリートや基礎を露出させます。舗装面がある場合は、カッター入れや舗装撤去も必要です。
  3. 3.電柱撤去(クレーンで引き抜き)
    クレーンや重機で柱を引き抜き、安全な位置に仮置きします。周囲の建物や通行車両・歩行者への安全確保が最優先です。
  4. 4.基礎撤去・埋戻し
    基礎をどこまで撤去するかを決め、撤去後は砂利や土で埋め戻します。将来的に舗装や建築を予定している場合は、その計画も踏まえて撤去範囲を決めます。
  5. 5.跡地整備
    舗装や砕石の復旧など、元の状態に近づける仕上げを行います。見た目だけでなく、段差や水たまりができないよう勾配も調整します。

見積もり前に準備しておくと良い情報

正確な見積もりを出すためには、現地調査が欠かせませんが、事前に次のような情報や写真をいただけると、概算の費用感をお伝えしやすくなります。

  • 電柱の本数と、おおよその位置関係(敷地内・道路沿いなど)
  • 電柱全景の写真(周囲の建物・電線・道路状況がわかるもの)
  • 電柱番号の写真(管理番号が記載されたプレート部分)
  • 電線の状況(他社線が混在しているか、照明・設備が付いているか など)
  • 敷地への進入路の幅・勾配(大型車両が入れるかどうか)

これらの情報が揃っていると、「建柱が必要なのか・撤去だけで良いのか」「重機が入れそうか」「冬季施工になりそうか」など、大まかな条件を事前に把握することができ、見積もりの精度も高くなります。


どの会社に依頼すべき?失敗しないチェックポイント

電柱の建柱・抜柱工事は、どの電気工事会社に依頼しても同じというわけではありません。次のポイントを確認しておくと安心です。

チェック項目 理由
現地調査を必ず行ってくれるか 写真だけの見積もりは精度が低く、後から増額になりやすいため
電力会社・通信会社との申請経験 申請や協議に不慣れだと、工期が延びたり、やり直しが発生する可能性があるため
交通誘導や安全対策の実績 道路使用や歩行者安全をおろそかにすると、事故やトラブルにつながるため
凍結地盤に詳しいか 凍上対策や冬季施工の経験がないと、追加費用や再施工のリスクが高まるため

できれば、「これまでどのような現場で電柱工事を行ってきたか」「農地・工場・市道など、似た条件の施工実績があるか」を確認しておくと、より安心して任せられます。


よくある質問(FAQ)

Q. 電柱1本だけでも工事をお願いできますか?

A. はい、1本だけの建柱・撤去でも対応可能です。ただし、重機の搬入や申請手続きなどの固定費が発生するため、本数が少ない場合は1本あたりの単価が高く感じられることがあります。

Q. どのくらい前に相談すれば良いですか?

A. 電力会社・通信会社との協議や申請に時間がかかる場合があるため、可能であれば「工事希望時期の1〜2か月前」にはご相談いただくと安心です。冬季は天候や除雪状況の影響も受けやすいため、さらに余裕を持った計画がおすすめです。

Q. 自分の敷地内にある電柱でも、勝手に撤去していいですか?

A. 電柱が私有地内に立っていても、設備の所有者(電力会社・通信会社など)が別にいるケースがほとんどです。勝手に撤去することはできないため、必ず事前に所有者や関係会社と協議する必要があります。


参考になる外部リンク

電柱や電気・通信インフラに関する基礎情報は、各社の公式サイトでも公開されています。より詳しく知りたい方は、以下のページも参考になります。

上記はあくまで一般情報であり、実際の工事方法や費用は現場条件によって変わります。具体的な工事をご検討されている場合は、電気工事会社へ直接ご相談ください。


まとめ|正確な費用を知るには現地調査が必須

  • 電柱1本の費用目安は、建柱で25〜60万円、撤去で10〜35万円程度が一般的なレンジ
  • 北海道では地盤の凍結・凍上対策・積雪などが費用に大きく影響する
  • 正確な見積もりのためには、写真だけでなく現地調査がほぼ必須

概算の費用感だけであれば、電柱の本数や位置、周辺状況の写真をいただければおおよその金額をお伝えすることも可能です。ただし、正式なお見積り・ご契約の際には、必ず現場確認を行ったうえで、工事内容と金額をご説明させていただきます。電柱の建て替えや撤去でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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