低濃度PCB廃棄物の処理期限とは?事業者が必ず確認すべきポイント

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古い変圧器やコンデンサなどの電気設備から、低濃度PCB廃棄物が見つかるケースが全国で増えています。
そして、この低濃度PCB廃棄物には「法律で定められた処理期限」があります。

本記事では、電気工事会社の視点から、PCBの基礎知識、対象となる設備、処理期限、リスク、確認方法までを、全国の事業者様向けに分かりやすく解説します。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)とは?なぜ問題になるのか

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、以前変圧器・コンデンサ・安定器などの絶縁油に広く使用されていた化学物質です。

  • ・高い絶縁性(電気を通しにくい)
  • ・不燃性(燃えにくい)
  • ・熱や薬品に強い(長寿命)

しかし、研究が進むにつれ発がん性や環境汚染リスクが明らかになり、現在では製造・使用が禁止されています。
PCBは自然に分解されにくく、廃棄後も適切な処理が必要です。


「低濃度PCB廃棄物」とは?どんな設備に多い?

PCB廃棄物は濃度によって「高濃度」と「低濃度」に分けられます。

このうち低濃度PCB廃棄物は、比較的低い濃度のPCBが含まれた廃棄物で、主に以下の設備で見つかることがあります。

設備の種類 対象例
変圧器(トランス) 高圧受電設備(キュービクル)内の油入変圧器
電力用コンデンサ 力率改善用コンデンサ(需要家変電所)
安定器など 古い蛍光灯器具の安定器

特に製造年が昭和〜平成初期の機器は注意が必要です。外観だけでは判断できないため、必要に応じて絶縁油の濃度分析が必要となります。


低濃度PCB廃棄物の処理期限はいつまで?

低濃度PCB廃棄物の処理期限は、PCB特別措置法に基づき

令和9年(2027年)3月31日まで

と定められています。
この日までに処理を完了しなければならないと法律で規定されています。

ここで重要なのは、期限日に処分施設へ持ち込めば良いのではないという点です。
処理申込み・運搬・分析などに時間がかかるため、早期対応が必須です。


期限ギリギリは危険!今確認すべき理由

期限が近づくほど、以下のリスクが増えます:

  • ・分析・処分の予約が取れない
  • ・処理費用・運搬費用が高騰する
  • ・設備更新工事が遅れ、稼働に影響が出る

特に変圧器やコンデンサの更新には停電作業が必要になるため、余裕を持った計画が求められます。


期間を過ぎるとどうなる?事業者のリスク

低濃度PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物に該当し、期限を過ぎると以下のリスクが発生します。

  • 行政指導・改善命令
  • 罰則(場合により罰金や懲役)
  • 社会的信用の低下・取引停止の可能性
  • 設備更新ができず工期遅延や機能停止

事業継続にも影響するため、早めの対応が重要です。


まずはチェック!対象の可能性がある場合

以下のチェック項目に1つでも該当する場合、点検をおすすめします。

  • ・高圧受電設備(キュービクル)を保有している
  • ・変圧器やコンデンサを交換した記録がない
  • ・設備の製造年が平成初期以前である
  • ・古い蛍光灯器具の安定器を使用している
  • ・過去の廃棄時、マニフェストが残っていない

「対象かどうか分からない」段階でも構いません。まずは現状把握が重要です。


低濃度PCBの現場対応ステップ

  1. 1.設備情報の整理(銘板情報、設置年、図面など)
  2. 2.PCBの可能性がある機器を抽出
  3. 3.必要に応じて濃度分析を実施
  4. 4.処分方法の検討・業者の選定
  5. 5.工事・処分計画の作成(停電作業を含む)

この流れに沿って進めることで、期限内の安全な処理が可能になります。


📚 参考リンク(公的機関)

※処理期限や対象設備については、上記公的情報に基づき記載しています。

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